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「1000年分のズッコケ2010年」

今年って2010年ですよね?
2010年も、もうすぐ終わりですよね?

あ~あ~。。。3年以上も日本や世間と離れて旅していると、
曜日や日付どころか西暦まで忘れてしまうほどの、
世捨て人となってしまうのかとお思いでしょうが。。。
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さて、我が家は今、スペインのサンチャゴにいます。c0158636_2351232.jpg
前回の日記で触れた、
ヨーロッパ最大の聖地巡礼路「サンチャゴ デ コンポステーラ」のゴール地点です。

南部フランス「サンジャン ピエドポー」を11月24日出発し、
雨の日、風の日、雪の日、強風で向かい風の日、暖かい太陽の日、夕暮れや流れ星の日。
スペインと言えども冬、寒い日の気温はマイナス。
毎日毎日、20~35km歩く。
寝る、食べる、以外は歩き続ける。
特別な巡礼路ではなく、ただの道。山道や丘陸地帯、普通の道。
この道の中で、各々が自分自身に向き合い自分の答えと出会う。
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しかし、こんなにもスペインは英語が通じないのかと驚き、辞書を片手にスペイン語を学び、c0158636_2545281.jpg
世界中から集まる巡礼者と、ワインで語り合う。
冬季の巡礼で、本当に良かったと。
確かに寒いけど、札幌と同緯度程度。巡礼者も多くて1日10名程度。
小さな村なんて我が家のみで、70ベッドの大部屋とか(笑

夏場は、1日3000~5000人がこの巡礼路を通過し、
宿のベッドは当然足りないので、早く到着した者からベッドが確保できるという競争となるそうです。
マラソンやトライアスロンの様に、巡礼が競技化してしまうなんてね。。。
冬季の今でさえ、巡礼宿は筋肉炎症鎮静剤のサロンパスやヴァンテリンの匂いが。。。
なんなら、雨の中ぐちゃぐちゃにずぶ濡れになったブーツの匂いが。。。
腐ったチーズケーキの様な異様な匂い疲れた体の嗅覚を刺激してくる。。。
1日8時間歩きとおしてクタクタの身体に、腐ったチーズケーキの匂いが沁み込んでくる(笑

c0158636_345198.jpgc0158636_371256.jpg地方の郷土料理に舌鼓し、安全が確保されている巡礼路を歩くだけ。
(写真左:ガリシアの蛸、茹でた蛸にオリーブオイルとパプリカ、世界中で蛸を食すのは日本とガリシア地方のみらしい、親近感湧く。湯呑みに赤ワイン、親近感湧く、これで0.7ユーロ。ガリシアスープ、運んで来る段階でこぼれ過ぎ、これは日本では無しでしょ?)
(写真右:バルでパンを頼むと必ずフォークをブッさしてくれる。これ礼儀。笑)

カトリック教は大食が大罪らしいですが、イベリコ豚の生ハム、ガリシアの蛸、ステーキ、
高級リオハ赤ワイン、ガリシアの白ワイン、ナバーラのロゼワイン。
肉、酒、歩く、肉、酒、歩く。
ワインが血に、パンが肉になり、日々歩く。
これがカトリック教の巡礼。

地図が無くても問題なし、道には黄色の矢印や看板があり、
巡礼宿も清潔で快適、各村に建設されている。冬季はクローズしている宿もある)
日々の目的、目標地点にとりあえずたどり着きさえすれば、寝るとこは確保できる。
薬局や病院も、インフォメーションセンターも配慮されている。
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しっかりオーガナイズされてます。
経済破綻したスペイン、されどEU加盟国です。
資本主義のベースとなったカトリック教です。
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だからこそ、世界中の老若男女の巡礼者と出会え、
800km自然や街の中、中世の趣残す旧市街を歩くことだけに集中できる環境。
この巡礼路の確保のために12世紀(だっけ)には、血生臭い戦いもあった中世から続く巡礼路。
ナポレオンも通ったこの道。

24時間TVのマラソンの様に、ゴールしたら泣くんだろうなぁ~と、自分に期待してましたが、
全く、泣けませんでした。(笑

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そして、ヤコブ聖年の2010年12月25日午前11時、
キリスト教カトリック最大の聖地「サンチャゴ大聖堂」に、
バックパックと引きずった足と笑顔と共に、無事2人とも到着しました。
1ヶ月間で約800km歩きました。

2010年の聖年のキリスト誕生祭クリスマスのミサ(午後12時)を、此処サンチャゴ大聖堂で見てみたかったので、
本当に駆け込みセーフで間に合いました。


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大聖堂に響き渡るパイプオルガンのクリスマス聖歌。
6名の司教による大掛かりなボタフメイロ(香炉)の芳しく清められた空間。
全くわからないスペイン語が子守唄に聞こえて眠気。
歩き疲れた足に更なる負担をかける跪く儀式。

2010年ヤコブ聖年にしか開かない「プエルタデ サンタ(聖なる門)」を通り、祭壇のヤコブ像にハグ。
ここまでの旅路(巡礼路)とこれからまだまだ続く旅路をお祈り。

そしてだよ。
この巡礼路はスタンプラリーの様になっていて、
クレデンシャル(巡礼手帳)に、宿やカフェでスタンプを押してもらい歩を進めていき、
ゴールのサンチャゴから100km手前から、1日2スタンプ押してあれば、
コンポステーラ(巡礼証明書)がもらえる。ってわけで。。。

でもね、我が家は別に、誰かに賞賛されるためや、自慢するために歩いたわけじゃないので、
巡礼証明書は、そんなに興味なかったんだけど、
出会ったドイツ人やスペイン人が嬉しそうに勧めてくれて、
折角、2010年のヤコブ聖年に来たし、この年に来た者は恩赦授かる事ができるし、
この巡礼証明書があれば、パラドールで巡礼者用無料食事も提供される(毎食10名限定)

クリスマスの特別ミサが終わり、巡礼者証明書を頂きに大聖堂の中をウロウロする。
普段は、巡礼事務所で手続きをするのだが、クリスマスなので休み。
どこかで今日出来るのかなぁ~。。。っと。
大聖堂内の関係者以外立ち入り禁止のドアの前で、一人の司教と目が合う。

「どうかしましたか?」 スペイン語だったけどこんな感じだった。
「コンポステーラ ポルファボール」 巡礼手帳を片手に、片言のスペイン語の我が家。
「スペイン語が話せるんだね!フランス語も話せるかい?」
「ウィ~」
「私に着いて来なさい」

という展開になり、カトリック教最大の聖地と言われる大聖堂の司教の部屋に通された。
中世から時が止まったかと思うほどの、
静けさと暖かさの何とも言えない神聖な雰囲気の小さな部屋。
小窓から暖かい太陽の日差しが、司教のデスクを照らし、
ちょうど、このストーリーを読んでいたかのように、
デスクの前には、木製の小さな椅子は2つ並べておかれていて。

「座りなさい」 と。c0158636_3273294.jpg

我が家の巡礼手帳をザァ~っと見て、「日本人だね」と。
巡礼事務所では、1日2スタンプあるのかと厳しいチェックがあるらしいが適当だった。

デスクの上の資料の山から、巡礼者証明書の台紙を取り出し、慎重にサインする司教。

それを黙って覗き込む我が家。

(日本語だから司教にはわからないだろうと我が家の会話)
「凄い趣と宗教感の部屋だね~」
「こんな部屋に入れるなんて、クリスマスに間に合ってよかったね」
「ゆっくりとしっかりとサインしてくれるわ~」
「有難いね~」
「あれ?今年って2010年だよね?」
「ヤコブの聖年だよ!2010でしょ!」
「見てよ、司教の手元を!」
「あれ?1010年になってんじゃん?」
「過去じゃん~!」
「11世紀ってまだ巡礼路始まってないよね?」
「世界で始めてのサンチャゴ巡礼者になっちゃったよ~」
「どうする?書き直してって伝える?」
「まぁ~良いよ。特別な感じだし」
「あれ?僕のなんて2101年になってるよ!」
「そりゃないだろ~!司教よ!未来だよ~」
「わはははは~!」
「がはははは~!」

笑いに司教がキョトンとする。

「うっわぁ~ この人、マジだわ~!」
「間違いに気がついてないんだ、すごいレベルだよ!」
「もうさぁ~ 時間の枠なんていらない世界に生きているんだわ~」
「聖人の世捨てっぷりは、桁違いだね~!」
「たかだか1ヶ月間歩いたくらいの努力の証明だもんね」
「3年間、旅した経験なんて、ヒヨコだよ」
「人生かけてるもんね~世捨てに!神の子は凄いわ~!」

あまりにも聖なるぶっ飛びに、大笑いした我が家に、
司教は、
「君達の巡礼路は、笑いに満ち溢れていたんだね!」

と、部屋を何か探しているようでウロウロする司教。

特別クリスマスプレゼントとして、
中世のキリスト教聖歌のCDと、大きな暖かい包み込むハグと頬にキスの祝福を下さった。

後々、いろんな巡礼者に1000年分のズッコケ巡礼証明書を見せたが、c0158636_3301818.jpg
誰一人として、こんな特別ズッコケな証明書もCDも持ってなかった。

何だか、800km歩いた事も、このズッコケ巡礼証明書も、
今では、幻の様。

でもさ、我が家の手元には、この紙切れとCD。
経験と証明。
過程と結果。

こんな2010年の締めくくり。
我が家は、おかげさまで健康に今年を旅路で過ごすことが出来ました。
支えてくださる家族や友人、日々感謝しております。本当にありがとうございます。
そして2011年はアフリカ大陸!
どうぞ末永くよろしくお願いいたします。
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by laidbacktrip | 2010-12-31 23:41 | スペイン | Comments(5)